その15 「砂漠で水を飲むように」
飢餓状態になったとき、自分が何を求めるのか__。
それが知りたくて、千葉の成田山に4泊5日で断食修行に行きました。
食事はいっさい出ず、1日茶碗20杯の水のみで過ごす過酷な修行です。修行中は成田山の敷地内から出てはいけないので、ひたすら自己と向き合う日々。
「外界に出たら、飲みたいワインを飲もう」そう自分を奮い立たせ、空腹に耐えました。
そして5日目の朝。
足が重くて階段を昇るにもぜぇぜぇはぁはぁ、空腹にイライラする体力すらありません。
頭は妙に冴えていて、まる4日の断食に耐えた達成感でいっぱいです。
「今1番飲みたいワインはなんだろう」
モンラッシェでも、シャンベルタンでもなく、浮かんだのは……こんな優しく身体にしみ込むワイン。『ヤウマ、無理しないで』
無理しないで。
無理してないよ。
無理しないよ。 はづき